音楽のアップサンプリングについて(beta)
-まえがき
-本編
-まとめ
-ORT Mastering
-音響環境
-補足
まえがき
- アップサンプリングで実際に音は良くなるか
について感覚的な検証を踏まえた上で個人的な考察と見解を述べようと思う。
この議題に対し「元ファイルのデータ量が決まっているのだからそれ以上音が良くなるはずはない」という意見、はたまた「実際音が良くなっている」という意見もあるようだ。この時点で私がはっきり言える事はリサンプリングの有無で聴こえ方は確実に変わっているという事。
因みにこの記事の結論を 半分だけ 言っておくと 音質への恩恵は確かにある だ。
以下本編
はじめに、音がどう変化しているのかを確認してみる。同時にリサンプリングによるメリットまたはデメリットを探る。
まず、リサンプリングの有無による音の変化を、音に慣れる前の第一印象を重視して聴き比べる。
設定 Resampler:SoX 倍数:off・x2・x8・x16 位相応答:0% 通過帯域:91% DAC:Loudness,m/s処理 ※ファイルはflac,wav。dsd,mqaその他は用いていない
off-onを切り替えた瞬間に感じたそれぞれの音の印象
on→off······シャリ感が強いが輪郭が立っている
off→on······ぼやけているように感じるが滑らか
リサンプリング倍数が大きいほどそれぞれの印象は明瞭になった。
アップサンプリングをするということは記録の間を補間するような形になると思うがx8やx16など補間の割合が増えてきた時、その音は元の音でいられるのだろうか。特に、元のサンプリング周波数があまり高くない場合。
少し脱線するが、比較している時に映像のフレームレートと感覚が似ていると感じた。特に低いフレームレートとリサンプリング無しの場合の感覚。動き・音は認識できるのだが、少し前の部分的な動き・音を脳内で思い返そうとすると特に見た・聴いた気がしないというような感覚。…自分だけかも知れない…
次に目立たない音に焦点を置いて聴き比べた
アップサンプリングでしか聴いたことの無い曲の中に、聴こえてはいるが他の音に埋もれかけていて部分的な音から脳が勝手に認識しているという可能性もあるような印象の音がある曲があった。比較に際してアップサンプリング無しでも聴いた所なんとその音の輪郭を、わずかな違いではあるが確かに感じることが出来たのだ。
この変化はリサンプリングによるメリットとは言えないものだろう。
アップサンプリングをすると、確かに周波数領域の拡大もスペクトルで確認ができる。また、音の滑らかさや伸びの良さは実感できるほど向上する。しかし、このデータの補完によって得られた音は、場合によってはやはり本来あるべき音との誤差が生じてしまう事も有りうるのではないだろうか。
まとめ
個人で詳細なメリット・デメリットを定量的に比較する事は難しいがアップサンプリングによる恩恵は確実にある、しかしやはり元の音を取り戻す訳では無く補間に過ぎないのだ。音源の音を完全に再現・高音質化することは難しいと思われる。
特に近年の楽曲など要素が多く振動数など様々な音の特性が混ざり合う楽曲のアップサンプリングは本来の音を失ってしまう可能性も高くなるのではないだろうか。
アップサンプリングは楽曲とサンプリングの特性を考えた上で適当な設定をする事でその恩恵を最大限に高める事ができると考える。
ORT Mastering雑談
日本コロムビアの倍音再構築技術“ORT Mastering”。A/D変換の際失われた高域の成分を低域の倍音を元に予測、再構築する仕組み。
まだ聴き比べていないが情報によると周波数帯域の伸び等なかなか高精度のようだ。以上。
環境
ヘッドフォン:SONY MDR M1ST
ドライバ: 40mm, 音圧感度: 103dB/mW
再生周波数帯域: 5-80000Hz
補足
この記事の内容はあくまでも一個人の感覚に依存するもの。比較に際しては偏見などを介入させないよう心がけているが、リサンプリング機構の詳細な知識を全く完全に理解しているとはいえず、設備やソフトウェア等も道楽の域にすっぽり収まる。